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identity?

 最近うちに帰ると、夫が、PCに向かってヘッドセットをつけ、何やらぶつぶついっている光景をよく目にするようになった。
「何やってるの?」
「いいじゃん、別に。」
 しかも、何かプリントアウトしていたり。
怪しい…。

 どうやら、アブハジア語の教材をダウンロードしていたらしい。
こんな本までいつのまにか…。
identity?_c0191625_2251757.jpg

教材の音について復唱しているらしい…。
最近は、インターネット上に、少数言語の学習教材でも結構出回っていたりするらいし。

 そうはいっても、そう簡単に習得できるものじゃない。
コーカサスの言語はどれも文法が複雑で、発音が難しいことで有名。
言語学の研究対象になることも…。

 先日突然、「知ってる?日本に一人だけアブハジア語が分かる人がいるらしい!」
と夫が嬉しそうに言う。
ネットで検索していたら、某国立大学のN大学の先生でアブハジア語の文法について
論文を書いている人がヒットしたらしい。

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 夫の両親は、いずれもアブハジア系なので、
お互いにアブハジア語で会話している。
親戚も親の代までは結構そんな感じらしい。
 残念ながら、夫の代の子どもたちは、大人が示し合わせてアブハジア語を
教えなかったそうで、全くできない人が多い。
夫も、「ときどき両親が何の話しているかが、なんとなくわかるぐらいで、
全然話したりできない。」と言う。

 「どうして、アブハジア語を教えてくれなかったんだろう。」
と夫はいつも両親を恨んでいる。
 両親には両親の事情や考えがあったんだろうし、
学校で勉強が遅れたらどうしようとか…。

 ただ、言葉ってやっぱり自分のidentityを構成する重要な要素なんだろうなあ。
夫は、大学時代には夏休みにクラスメイトとアブハジアに行ったことがあるらしい。
貧乏旅行で、行った先ではホームステイ。
 大学生ぐらいの年って、自分の「ルーツ」とか、
そこまで行かなくても、「自分探し」とかしてしまう年頃だよねえ…。

 当時は、グルジアとの紛争が、収まっていたときだったとか。
黒海の沿岸で、ヤシの木が生えていて、かんきつ類がたくさんなっていて、
明るくのんびりしたところだった、とのこと。
 ちょっとネットで検索したらこんな写真が↓↓↓
identity?_c0191625_2322840.jpg
©wikipedia
ん~。確かに緑がいっぱいで、ヤシの木も生えているみたい…。

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 最近、急に、なんでアブハジア語なんて…。
「K(息子)にちょっとだけでも教えたいなと思って。」
とのこと。
「ええ~!今から覚えるなんて無理なんじゃない?」
そう。発音とかとても難しくて、とても大人になってから覚えられるものじゃない…。
「Kにインターネットでとか先生を見つけてやりたいけど、
それには、まず自分がちょっと勉強して、見てやれるようにしないと…。」
やれやれ…。まだ習得できていない「幻の母語」への愛は、限りなく深い…。

 「Kはバレエを習ってるから、もうちょっと大きくなったら
アブハジアの民族舞踊とかも習えるようになるかも。」
どこで~???
夢は果てしなく広がっている…。
identity?_c0191625_2381810.jpg
©Circassian World News Blog

 「M(私)みたいに、日本人がたくさん住んでいる国にいる日本人には
分からないよ。」だそうだ。
ん~。
<今日のプライベート充実度50%>
 
by makikoai2005 | 2010-11-23 02:21 | 家族 | Comments(2)
Commented by Yasasin at 2010-11-23 03:40 x
本当に、言語は文化ですよねぇ。
アブハジアについて、本当に無知でありましたがあの界隈は歴史と紛争の知識がないと本当の意味で理解できない民族であります。
そういう意味で、言葉を覚えることで民族を理解できるような気がして興味深いところです。
ご子息、中国語もまだ続けてるんですよね?今の年頃は吸収が早いから身につけるには良いタイミングではないかしらとも思いますが、詰め込みすぎるとトラウマにもなりそうなんで慎重にしないといけませんよね。親心、旦那様の気持ちもよく分かりますよ。。。
Commented by makikoai2005 at 2010-11-23 23:15
Yasasinさん
そうなんです。中国語もかれこれ1年になりました。家ではもっぱら日本語と英語で生活しています。
その上、アブハジア語???ちょっとやりすぎなのではないか(今でも十分やりすぎです、うちは。)と思ってしまいます。
それに、トルコ語はどうするんでしょう、トルコ語は…。
親の趣味で小さすぎるうちに子どもにあれこれ言葉を教え込むのは、おっしゃるとおり、「トラウマ」とか「反動」とかありそうで、私は正直怖いです(涙)。
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